デニムの歴史

【ジーンズの歴史】ジーンズの「加工」は日本が起源!日本におけるジーンズの発展

今では出かけると必ず1人はジーンズを履いている人を見かけますよね。
いや、5人以上は見かけるかも。それくらい普及しているジーンズ。

街ゆく人が履いているジーンズを見てみると、
ジーンズには履き込んだ形跡が見られるもの、加工でリアルな色落ちを表現しているもの、さらには派手にダメージが入っているものなど様々。
(筆者が見過ぎなだけかも。)

新品の状態でダメージが入っている、色落ち加工がされている洋服はジーンズ以外あまり見ないのではないでしょうか。

その、ダメージ加工は日本が起源とされています。 今回はダメージ加工の発展を含めた日本におけるジーンズの歴史について掘っていきます。

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ジーンズは戦後のアメ横から日本中へ広まった

日本にジーンズが流通し出したのは1950年ごろ。場所は東京のアメヤ横丁からです。
日本は第二次世界大戦が終わった頃であり、少しずつ戦争の被害から回復していました。
しかし、洋服などは新しいものを購入する経済力や、工場のラインが完全に元通りになっていたわけではなく、一般的には昔着ていたものを着続ける生活でした。
そんな中、東京のアメヤ横丁にはアメリカ軍の軍人が着ていた払い下げのチノやジーンズなどが豊富に揃っており、これが若者の間で流行しました。

ジーンズの聖地「児島」の誕生

ジーンズは主に米軍払い下げの古着が中心でしたが、次第にジーンズを縫製する企業が岡山県を中心に誕生しました。

東京で流行していたのになぜ岡山県でジーンズの縫製が始まったの?

それは、岡山県の産業の特徴にヒントがあります。

児島は土地柄稲作が厳しく稲作の代わりに綿花を栽培しており、その「綿花」を使用した学生服を縫製することで繊維産業が発達していました。
児島は今では「ジーンズ」の聖地ですが、昔は「学生服」生産日本1位の地域でした。

学生服とジーンズに共通点なんてあるの?

学生服とジーンズに共通している部分があります。それが「耐久性」
学生服は3年間ほぼ毎日着る服のため耐久性がかかせませんよね。

そんな共通点があり現在の「BIG JOHN」(旧:マルオ被服)がジーンズの生産に乗り出しました。そして、今やジーンズといえば「児島」であり、日本のジーンズは世界からも高い評価を得ています。

日本で初めてジーンズを作ったのは「BIG JOHN」

日本で初めてジーンズの生産の乗り出した「マルオ被服」(現BIG JOHN)
マルオ被服は1940年に尾崎小太郎が創業した「学生服」などを縫製していた会社です。

ジーンズの輸入・販売を始めたのが1958年
1950年ごろにアメ横でジーンズが流通し始めたので、かなり早い段階でジーンズの販売にも力を入れていたことがわかります。

そして1965年にジーンズ第一号を販売しました。
この時に販売したジーンズの生地はアメリカの大手キャントンミルズ社です。
さらにこの頃からマルオ被服はジーンズの洗い加工も始めています。
※参考 BIG JOHN公式HP「沿革」 http://1940.bigjohn.co.jp/history/

ちなみに、、
「BIG JOHN」の社名の由来ですが、これは創業者の尾崎小太郎の名前が由来とされています。尾崎小太郎の下の名前「小太郎」を分解すると「小」「太郎」。
「太郎」は日本では最も一般的な名前とされており、アメリカで言うところの「JOHN」(ジョン)。このルールでいくと「スモール・ジョン」となりそうですが、会社名に「スモール」が入っていると企業として大きくならない。ということで「ビッグ・ジョン」になったそう。

日本がジーンズの加工を始めた理由

アメ横で流通していたジーンズはアメリカ軍が履いていたジーンズということもあり、古着が一般的でした。しかし、輸入をした新品のジーンズは

「硬い」
「洗濯前と洗濯後では生地の収縮が激しい」
「色移りがする」

という問題が頻発しました。

今でこそ新品のジーンズにはそのようなイメージがありますが、当時は古着のジーンズしか知らない人がほとんど。ジーンズの特徴に驚いた人が多かったでしょう。

そこで、ジーンズを古着のように履きやすい状態にした上で販売する。という試みが始まりました。まず企業は「ジーンズを洗う」ことを始めました。洗うことにより

・柔らかい風合いにする
・収縮率を安定させる
・余分なインディゴを洗い落とし色落ちを最小限にする

を可能にしました。

その後、「洗う」だけではなく、「削る」「切る」「破る」などの特殊な加工も始め、
現在のようなジーンズが流通するようになりました。

いろんなジーンズが売っているよね。

まとめ

・ジーンズは第二次世界大戦後に東京の「アメ横」で流通が始まり、
若者の憧れの的となった。
・児島がジーンズの聖地と呼ばれるようになったのは「繊維産業」が発達しており、国内初のジーンズ生産に乗り出したから
・ジーンズの洗い加工が始まった理由は、新品のジーンズをアメ横で流通していた履き心地の良いジーンズに近づけるため。

日本におけるジーンズの歴史を知ると、岡山県「児島」に行きたくなりますね。
ジーンズ好きなら1度は行って損はありません。よりジーンズが大好きになりますよ。