ジーンズは持っていますか?
そう聞かれると、おそらくほとんどの人が「持っています」と答えるでしょう。
今や1人1本とは言わずに数本は持っている人が多いのではないでしょうか。
ジーンズの年間総生産着数は20億着とも言われており、さらにこの数字はいまも伸び続けています。
数ある衣服の種類の中で1番の人気、歴史を誇るジーンズ。
今日はジーンズ誕生の歴史を掘っていきます。
ジーンズは「労働者」のための衣料
そんなジーンズ、発祥は1848年のアメリカまで遡ります。
1848年のアメリカと言えば、ピンとくる人もいるでしょう。
そう、ゴールドラッシュです。
1848年にアメリカ・カリフォルニアで金鉱が発見され、一攫千金を狙う男たちがこぞって金鉱に集まりました。その数はなんと数十万人規模と言われています。
金鉱での作業は過酷なもので、着用している衣料がボロボロになってしまう事態が頻発しました。その問題を解決したのが生地商人であった「リーバイ・ストラウス」です。
彼は生成りで10オンスのキャンバス生地を使用した、ズボンの上から履く「ウエスト・オーバーオール」(この頃はジーンズとは呼ばれていない。)という衣料を発売しました。これが金鉱労働者には大変人気で、リーバイス社は競合他社に比べ圧倒的な人気を誇りました。
ジーンズ誕生にはリーバイ・ストラウスの他にもう1人のキーマンがいます。
それが、「ヤコブ・デイビス」です。
彼は、リーバイ・ストラウスの取引先の仕立て屋でした。
彼は、衣服の中でも特に破れやすい後ろポケットの両角などに馬具用のリベットを
打ち付け、強度をあげる工夫を思いつきました。
この工夫の特許を取りたいと考えていたヤコブ・デイビスですが、1人で特許を取得するには資金が足りませんでした。
そこで取引先のリーバイ・ストラウスに頼み、共同で特許を取得することになりました。
特許を取得した5月20日は「ジーンズの日」と呼ばれており、
今でもこの日に合わせて各ブランドが情報リリースすることがあります。
「リベットで補強したジーンズ」は瞬く間に大人気となり、ジーンズが「リベットウェア」と呼ばれるまでに成長しました。
そして、この「リベット」は今でもほとんどのジーンズに採用されています。
その後、使用する生地はキャンバスから9オンス程のブルーデニムへと変化していきました。
ジーンズの「インディゴ染め」とは
ジーンズといえば「インディゴ染め」ですが、インディゴには「天然インディゴ」と「合成インディゴ」の2種類があり、現在市場に出回っているジーンズのほとんどは「合成インディゴ」が使用されています。
「天然インディゴ」の原料である「藍」ですが、この「藍」に含まれるインディゴ成分は全体の約5%とかなり少ない量のため、1本のジーンズをつくるには大量のインディゴが必要となります。
しかし、1880年にドイツの科学者A・ボン・バイヤーが石油をもとに天然インディゴと成分がほとんど同じ「合成インディゴ」の生成に成功しました。この合成インディゴの誕生がきっかけとなり、ジーンズの大量生産が始まったのです。
天然インディゴには「ピレスロイド」という成分が含まれています。
この成分は防虫効果があることで有名です。
炭鉱には数多くの虫や蛇がいたことは想像できますよね。
その虫・蛇対策としてインディゴが使用されたといわれています。
ちなみにですが、合成インディゴには「ピレスロイド」は含まれていないので、
現行で販売されているようなジーンズを履いて山登りなどをしても虫は寄ってきます。
まとめ
・ジーンズはゴールドラッシュ時代に「労働者」のために作られた
衣料の1つであり「リベット」を使用することで耐久性を高めた。
・インディゴには「天然」と「合成」の2種類があるが、
「天然」は現代では希少のためほとんどのジーンズは「合成インディゴ」が
使用されている。
・ジーンズにインディゴが使用された理由はインディゴに含まれている
「ピレスロイド」には防虫効果があるため。
この3点がジーンズ誕生の歴史を知る上で大事なポイントです。
「リーバイ・ストラウス」の存在は知っていたけど、「ヤコブ・デイビス」を知っている方は少なかったのではないでしょうか。
次回は日本におけるジーンズの発展についてです。